野菜について

健康と美容のためのベースとなる生活習慣は、なんといっても野菜をバランス良く食べること。そこで、野菜についての基礎知識を紹介します。まずは、私の大好きな「ほうれん草」と「ニラ」からいってみます。

ホウレン草

歴史

冬場になってくるとホウレソ草にいっそうの甘味が加わり美味となりますが、名前の字が示すように、日本や中国原産ではなく、中近東とくにイランあたりだといわれています。

イスラム教徒の移住とともに東西に広まり、ヨーロッパには11世紀スペインに伝播したのを始めとして、漸時広まりました。中国には7世紀の唐の時代に伝わりました。

日本には16世紀末伝来

ホウレン草が中国から日本に伝来したのはだいぶ遅く16世紀末であるといいます。しかし、現在出回っている大葉のものは江戸も末期の文久年間にフランスから伝播したものです。

繊維素、ビタミン、鉄分がたくさん

ホウレン草の中国への伝播が唐の時代であるから、それ以前の本草書(薬物書)には記載がなく、唐代以後のものには「五臓の働きをよくし、腸を通じ、胃熱を解し、酒毒を消し、のどの渇きを止め、潤す作用がある」と述べられています。

ポパイ

しかしホウレン草は単に中国のみならず、西洋においても、あのポパイに代表されているように、栄養の豊富な野菜として高く評価されています。

日常の緑色野菜としてうってつけ

その成分からみても繊維素、ビタミンA、B、C、そして鉄分をたくさん含有しているため、日常とるべき緑色野菜としてはうってつけの非常にすぐれた食品であるといえます。ただ、蓚酸も多く含んでいるので、結石の体質、例えば腎結石、膀胱結石等の病気を起こしやすい人の場合は少な目にする必要があります。

便秘症の人、高血圧症、痔、肺結核、糖尿病、貧血症の人に対して有効です。

ニラ

歴史

ニラはシベリヤ地方が原産です。地つづきの中国では古くから栽培されていた野菜の一つ。孔子の作といわれる「詩経」国風には「四の日ごとに羊を献じ韮を祭る」とあるから、この頃には祭祀用としても用いられていたことが窺えます。

強い生命力

ニラは別名「起陽草」ともいわれるくらい成長力の強い野菜で、北の寒い所では冬期マイナス四十度Cにもなる黒竜江省北端の地方から、南は中国沿岸の帯塩分土壌地帯、はては海抜三千メートルを越える西北高原に至るまで、あらゆるところで繁殖しています。

起陽草という名前も、ニラのもつその成長力が、人間にも強い強壮力、強精力を与えるであろう所からつけられた名前です。

なまけても収穫できる

もう一つの別名である懶人草(ナマケ草)の由来は、ニラは生命力が強いので、一度植えると、なまけて手をかけなくともいつまでも収穫できる野菜という意味です。

ニラは中国野菜の中で最も多く食べられる野菜であって、食べ方もいろいろ研究されています。薬物の専門書である「本草綱目」(明)にも「ニラの最も美味なところは、茎のつけ根の白い部分である」というような料理分野の記載がみられるほどです。

日本では弥生時代から

ニラの日本への渡来は弥生時代とされますが、平安時代には葱の一文字に対して韮と二文字であることから、女房詞で二文字というとニラのことを指していました。

昔はニラもニンニク同様臭気が強いので女性の食用がはぼかられていましたが、最近ではその効用が見直されて、食用としての需要も多くなりました。

ニンニクと並ぶ二大強精食品

ニラもまた現在の中薬学のテキストの中に活血化お薬(血液の循環をよくして古血を排泄する薬)として収載されている野菜です。

その第一は活血化の作用です。金元時代の四大医家の一人である朱丹渓は韮は肝腎(生殖器の働きも含む)の働きを強め、吐血、衂血、尿血、痔、生理不順、帯下、打撲などの血の病によく効くとして、そのような患者に韮汁を飲むことをすすめています。

男性の機能不全にも効果

その二は強精強壮作用です。起陽草の名の通りニラはニンニクとならんだ、二大強精食品です。ニラそのものも、もちろん強精作用は強いですが、ニラの実である韮子はいっそう強く、腎虚による男性の機能不全にも効果があるとされます。

胃腸にもいい

もう一つは胃腸に対する効用です。ニラの性は温であることから胃腸が冷えて働きが悪かったり、潰瘍性の出血をともなうものによい。

その他の効用としては、胸部の狭心症的な痛み、気管支炎、便秘、咽喉にできものなどができて嚥下困難な場合、また、ニラには強い殺菌作用があるので、細菌性の下痢や動物のかみ傷や虫刺されに用いることができます。